こんにちは、ノットが結べない釣り初心者のHP制作チーム Hです。
本日は
マグネットブレーキの原理
について書かせていただきます。
ベイトリールのカスタムや調整において、「マグネットブレーキ」の理解は避けて通れません。
「何となく調整しているけど、実は仕組みがよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?
私自身も「アルミに磁石はくっつかないのに何でブレーキかかるんだろう」と思っていたぐらいです。
それでは、マグネットブレーキの原理について詳しく解説していきます。
■ ブレーキの基本は「電磁誘導」
まずは、理科の実験でもおなじみの現象を思い出してみましょう。
コイルの中に磁石を出し入れすると、電流が流れるという実験があります。これは
「電磁誘導」
と呼ばれる現象です。磁石の動きによってコイルの中の磁場が変化し、その変化が電気(電流)を生み出しているのです。
では、もう一つ。銅の筒(銅管)の中に磁石を落とすと、スーッと不思議なほどゆっくり落ちるという現象をご存じでしょうか?これは、金属内部に
「渦電流(うずでんりゅう)」
が発生しているためです。
金属の近くで磁石を動かすと、電磁誘導によって電流が流れます。この電流が金属の内部を“うず”のように巡るため、「渦電流」と呼ばれます。
そして、この渦電流が新たな磁場を生み出し、もともとの磁石の動きに逆らう方向に作用します。
つまり、磁石の動きを止めようとする力=ブレーキのような力になるのです。
まとめると、
磁石の動き → 電磁誘導による渦電流の発生 → 渦電流による逆向きの磁場 → ブレーキ効果発生
というのがマグネットブレーキの基本的な仕組みです。
スプールとマグネットブレーキでは磁石が動かない代わりにスプールが回転することによって同様の効果を生み出しています。
スプール内での渦電流発生の様子
N・Sと交互に磁石が並ぶことで渦の向きが揃い、強い渦電流になる
渦電流によって発生した磁力がマグネットブレーキと反発しあう様子
異なる極同士はひきつけあい、同じ極同士は反発しあうことでブレーキがかかる
この逆らう力が、スプールの回転を抑えるブレーキとして働くのです。
■ N極S極が交互じゃないとダメ?
マグネットブレーキで重要なのが、磁石の配置です。
先ほどの画像のように、渦電流は渦の向きによってNとSが入れ替わります。そのため隣り合った磁石が同じ極の場合、二つの間の渦の向きがそろわず、ブレーキ効果が弱まります。
磁石の極が交互に並ぶことで、効果的にブレーキ力が生まれ、安定した回転制御が可能になります。
■ ブレーキ力はどう変えられる?
マグネットブレーキでは、ブレーキの効き具合(ブレーキ力)を調整する方法が2つあります。
1つ目は、磁石の数を変えること。
磁石の数を増やせば、そのぶん多くの渦電流が発生し、ブレーキが強くなります。逆に磁石を減らせば、ブレーキ力は弱まります。
2つ目は、磁石とスプールの距離を変えること。
距離が近いほど磁場の影響を強く受けるため、ブレーキがよく効きます。逆に距離が遠いと、磁場が弱くなり、ブレーキ力も弱まります。
他にも磁石を強くすること・ブレーキを効かせる位置を回転体外側にすることがありますが、ベイトリールにおけるマグネットブレーキは上記二点が主な調整方法となります。
弊社の2500C用製品だと以下のような組み合わせがあります

Microcast Brake AMB1520にはPEモデルも用意しており、標準がφ4×4マグネット4個に対しPEモデルは
φ4×4 2個 / φ4×3.5 1個 / φ4×3 1個 とスプール重量が軽い分マグネットの高さを抑えたものを組み合わせブレーキ力を調整しています。
また2518TR専用ブレーキは距離の調整がネジ式の為、無段階のブレーキ調整が可能です
伸びます
Ambassadeur 2500Cシリーズでも現代リールのように無段階でマグネットブレーキを調整できます
■ Availスプールでの実感
アベイルのMicrocast Spoolは、極限まで軽量・高レスポンスに設計されているため、
ブレーキの微調整がキャストフィールに大きく影響します。
磁石の数や距離の違いで、投げ心地ががらりと変わるのを体感できるのも、カスタムの醍醐味。
ブレーキの仕組みを理解すれば、チューニングの幅はさらに広がります。
■ おわりに
マグネットブレーキは奥深い調整の世界があります。
次回は、遠心ブレーキや、セッティングの考え方についても触れていきたいと思います。
気になる点や取り上げてほしい点は #聞いてよアベイル のハッシュタグにて各種SNSの投稿をお待ちしております。